電子ノートWG-S50のディスプレイオフ設定9時間が秀逸
仕事で電子ノート(WG-S30)を使っていると、ほぼ確実に興味を持って声をかけて下さります。やはり手書きという自由なアウトプットはそのままに、持ち運びや枚数といった物理的な制約を電子化する事で解決したいと思っている人は少なからずいるようです。 私もそう思い電子ノートを購入した人で、今ではプライベートも仕事でも常に持ち歩いているほどなくてはならないものになっています。
ただ不満に思うことがないわけではありません。画面が暗いとか、コピー&ペーストができれば楽だなと思うことが多々ありました。WG-S30が発売された後、RemarkableやDPT-RP1など魅力的な製品が世の中に出てきて、製品ページやレビューを見て悩む時間が増えました。ただいずれも価格が6万以上と高く個人で購入して仕事でガシガシ使う事を考えると購入は躊躇われました。
そんな中、9/13にコピー&ペースト機能が搭載された後継機WG-S50が発表されました。妻にはほとんど機能が変わらないのに買うのは勿体ないと言われましたが、スペックからは見えない実際に使っているからこそ分かるこの機能の有り難みがあります。独身ならばコピー&ペースト機能がついただけでも即買い換えるのですが、今はお小遣い制の身。2万円はそうポンポンと出せません。SHARPの製品ページに改善点として”CPUの速度が2倍”、”デスクトップモード”、”ノートの最大合計ページ数が約1.6倍”、”図形描画”があげられていましたが、CPUの性能向上に伴って書き心地がより良くなっているのかどうかが気になるぐらいで、他の機能はあまり魅力的には感じません。価格が下がってきた頃に買うかと思い始めていた時、デスクトップモードの詳細ページを眺めていると、注釈で小さく書かれている文言を見つけました。
「充電中以外は、省電力設定で設定した時間(最大540分)で電源が切れます。」
電子ノートを使っている中で、地味に不満だったのが最長でも20分でディスプレイがオフになることです。紙の良さは”いつでもそこにあって、すぐに書ける”ことです。 書きたいなと思った時にディスプレイがオフになっていると、それだけで一旦思考を中断して電源を入れるという行為を挟まなければなりません。ノートという道具としてこの点に不満に感じるのは、今ほど性格も体型も丸くなかった若い頃に読んで衝撃を受けた、上野 学氏の「Modeless and Modal」の影響が大きいかもしれません。モードという概念を知ってから、モードがない、気にならない道具を好むようになりました。電子ノートを記入”モード”にするには電源をオンにしなければなりませんが、9時間放置しなければディスプレイがオフにならないのであれば、実用上それはモードがないのと同義です。スマートウォッチよりソーラー発電の電波時刻合わせの腕時計を好むのも同じ理由です。9時間という時間設定は所定労働時間+1時間の残業を意識しているのかなと感じます。デスクトップ”モード”という発想が先にありディスプレイオフの時間を9時間に延ばしたのか否かは開発者のみぞ知るところですが、ディスプレイ時間のオフ時間が延びたのは私にとっては最高の改善点となりました。
左:WG-S50 右:WG-S30。写真だと分かりづらいですがかなり塗装はげしています。
道具として道具らしくなったWG-S50を当日配達してくれるヨドバシカメラで購入しました。CPUの性能が2倍になった効果はページめくりの速さに現れています。ノートを30頁めくった際にかかる時間はWG-S50が約7.5秒、WG-S30が約12.5秒です。その他全体的に反応が良くなっています。書き心地についても大きめの文字を書くときは特に違いは感じませんが、小さく漢字を書くときに随分と書きやすくなったと感じます。
コピー&ペースト機能はやはり便利です。今まで不便だったタスクの管理がやりやすくなりました。本日行うタスクを書き出して出来なかった分を次の日のタスクに転記するという具合です。その日に完了したタスクが実績として日々残っていくので後からこの日何していたかな?と思った時にすぐに分かります。WG-S30を買った初期の頃はタスクリストという日々の実績ではなくマスタ的な管理を行っていましたが、完了していないタスクが複数の頁に散在する状態になり破綻してしまいました。
少し話が逸れますが、最近タイムマネジメントの本を読み仕事の質の向上に取り組んでいます。標準的な成果を出す社員は、大きなタスクを捌かなければならない時に、30分の隙間時間じゃ大して捗らないと考え2時間や3時間などの纏まった時間を確保しようとするそうです。では30分などの細切れの時間には何をしているかというと、成果に直結しない暇つぶし作業で時間を潰すそうです。私も悲しいかな心当たりがあるので、体感時間と実時間の差をきちんと認識出来るよう作業を始める時にストップウォッチで計るよう習慣づける事にしました。集中してきたなという時に見てみると5分しか経っていない事があったり、そんなに時間が経っていないと思っていたら1時間経っていたり如何に曖昧な時間感覚で仕事をしていたかという事に気づかされます。計測した時間をタスク毎に記録して、もっと効率良くするにはどうすれば良いか考えるためにタイムマネジメント用のフォームを作りました。フォームを簡単に作って使えるのは電子であることの利点です。紙ノートであればいちいち手書きでフォーマットを作るか印刷して記入するかになります。 このフォーム用の画像は、シャープ公式のユーティリティツールで、電子ノートに取り込んで使う事が出来ます。
以上、纏まりなく長々と書きましたが、WG-S50はこれから電子ノートを購入を検討している方にとってコストパフォーマンスの良い選択肢です。2013年1月18日に発売された初代WG-N10からWG-N20、WG-S20、WG-S30と経て、機能的に成熟したと感じます。残りの課題はディスプレイの見辛さでしょう。それが改善された次の新型が発売されるのを楽しみに、私はフォームでより記入する手間を減らせないか試行錯誤するのを楽しもうと思います。WG-S30は私が使っているのをみて妻も使ってみたくなったようで引き続き頑張ってもらうことになりました。
仕様
機能 | WG-S30 | WG-S50 |
---|---|---|
ノート(最大合計) | 3,000頁 | 5,000頁 |
スケジュール帳(最大合計) | 1,000頁 | 1,000頁 |
CPU | 48MHz | 96MHz |
メモリ液晶 | 6型/600×800ドット | 6型/600×800ドット |
外寸(幅) | 111mm | 111mm |
外寸奥行 | 155mm | 155mm |
外寸(厚さ) | 9.9mm | 9.9mm |
質量(本体のみ) | 約210g | 約215g |
質量(専用カバー、ペン) | 約50g | 約70g |
電源 | リチウムイオン充電池 | リチウムイオン充電池 |
使用時間 | 約30日 | 約30日 |
発売日 | 2015年10月16日 | 2017年10月13日 |
図形描画 | × | ○ |
コピー&ペースト | × | ○ |
デスクトップモード | × | ○ |
スタンプ | 40種類 | 120種類 |
ワンタッチ頁書き出し | × | ○ |
消しゴム範囲表示 | × | ○ |
消しゴム(ノート名) | × | ○ |
※外寸は専用カバー除く
※使用時間は、ノートの記入40分、ノートの表示80分で1日2時間使用の場合
データ移行の方法
古い電子ノートのデータは以下の方法で簡単にまるごと新しい電子ノートに移せます。
古い電子ノートのデータをエクスポート
- ホーム画面の左下にある「連携」→「バックアップファイルの作成」を選択。
- バックアップ後、古い電子ノートをパソコンにUSBで接続。
- 「連携」→「USB接続モード」→「接続」を選択。
- パソコンから電子ノート内の「BACKUP」フォルダ内にある「enote.bkup」をパソコンにコピー。
- 電子ノートの画面に表示されているUSB接続モードの「キャンセル」ボタンを選択。
新しい電子ノートにデータをリストア
- 電子ノートをパソコンにUSBで接続。
- 「連携」→「USB接続モード」→「接続」を選択。
- パソコンから新しい電子ノート内の「BACKUP」フォルダにパソコンの「enote.bkup」をコピー。
- 電子ノートの画面に表示されているUSB接続モードの「キャンセル」ボタンを選択。
- 「連携」→「リストア」を選択。
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