見やすさと描きやすさを両立した電子ノートはまた二年後のお楽しみ
前機種WG-S50より約2年。11/14に最後の課題であるディスプレイの見辛さを改善する電子ペーパーディスプレイを採用した電子ノートWG-PN1が発売されると10月中旬頃発表があり、ついにこの日が来たか!と胸を弾ませSHARPの公式WEBサイトを開きました。Apple Watch Series 5でディスプレイ常時点灯できるようになり目を動かすだけで時間が把握できるようになったとアピールされているように、電子ノートにおいても書いている事を読もうと目を移すと省電力モードになっている、というのは兎に角ストレスでWG-S50からディスプレイ自動オフ540分が設定できるようになり改善しましたが、今回ディスプレイ自体が変わった事によって仕様が大きく変更されWG-PN1でそれが出来なくなっているとしたらという一抹の不安がありました。公式WEBサイトやニュースを探しても一見なんのアピールにもならないようなその仕様についての記載は当然の如く見当たらず購入は博打でしたが、着ない洋服を捨てられずクローゼットが溢れて着たい洋服が埋もれ皺になり探すのに時間がかかるけど、でもいつか着るかもしれないから残すみたいな機能追加一辺倒の流れを辿らず、潔くWG-S50でただの一度も使わなかったデスクトップモードをWG-PN1で廃止したSHARPの電子ノート開発陣を信じ、例のごとく当日配達してくれるヨドバシカメラで予約・購入しました。
Amazonの電子書籍リーダー Kindle PaperwhiteやSONYのウェアラブルデバイス SmartBand Talkなどが私が使った事がある電子ペーパーディスプレイを搭載した機器ですが、それらからしてWG-S50やiPad Pro + Pencilのような書き心地は無理だろうと予想しており覚悟もしていましたがやはり書き心地についてはそれらと比べると劣りワンテンポ遅れて線が表示されます。書き始めが特に遅く連続で書いているうちに追従性が上がってくる印象です。表示が遅れるだけで書いた位置はきちんと認識されているので書き始めの線自体が抜け落ちるというようなことはありません。
→【2020/10/10追記】2020/3/23にファームウェアVer.1.5が公開され、ペンと消しゴムの切替の遅延がかなり改善されました。
他の手書きできる電子ペーパ端末のRemarkable、DPT-RP1/CP1、BOOX Noteは購入していないため実際の書き心地の比較はできませんがそれらの端末の2~3分の1の価格でこの書き心地であれば十分ではないかと思います。電子ペーパディスプレイの表示自体の書き換えに時間がかかっているのか全体的に操作の後に遅延が入ります。例えばノートにおいて良く行う操作である消しゴムとペンの切替も例外ではなく、切替に1,2秒遅延が入ります。この切替の間に書いたり消したりした操作自体は認識されてはいますが表示には反映されない状態となり、切替が完了した後に一気に表示に反映されます。慣れてその表示遅延を頭でイメージ出来れば支障はないと思いますがWG-S50ではそこに遅延はなかったのでWG-S50を使用していた人には大きく違和感を感じる部分だと思います。
→【2020/10/10追記】2020/3/23にファームウェアVer.1.5が公開され、ペンと消しゴムの切替の遅延がかなり改善されました。
私がベンチマークとして使っているノートを30頁めくるのにかかる時間についても、WG-S50の約7.5秒に対しWG-PN1は約29秒と大きく溝があります。
一方で、UIなど洗練された部分もあります。WG-S50ではスケジュールとノートを切り替える際、必ずホーム画面を経由しなければなりませんでした。例えばノートを書いている途中でスケジュールを確認したい場合は、[ノート]→[ノートホーム]→切替タブ→[スケジュールホーム]→[スケジュール]というルートを辿らなけばなりませんでしたが、WG-PN1では画面最下部に切替メニューが物理的に常に表示されているため、[ノート]→切替メニュー→[スケジュール]と開いているノートとスケジュール間を直接切り替えることが出来ます。またTODOも電子ノート側で処理できるようになりました。WG-S50ではTODO機能はないのでその日に行うタスクを書き出し次の日は次の日の頁に前日完了していないタスクをコピー&ペーストで移すというやり方を行っていましたが、このTODO機能を使えば完了分は完了頁に一括で移せるのでだいぶスマートに管理出来るようになったと思います。
WG-S50で画面の見辛さ以外での不満点はなかったのですがこうしてより良くなるように世代を経るに従い細かい改善を地道に続けて発売してくれるのは嬉しいです。道具は大きく変化しないのが鉄則だと思います。QWERTYキーボードのように効率が悪いとされていても変わらなければ人間の方がそれに適応していきます。流行などによってAndroidスマートフォンのように縦横比が変わったりWindowsのように大きくUIが変わるとまた1から適応しなおしとなります。その道具を使いこなせるようになってもまた1からやり直しになるのではないかという危惧が芽生え、その道具を使い続けようという気持ちがなくなります。WG-S30から使い始めましたが変わらずSHARPの電子ノートを買い続けるというのはそういう所から来ているのだと思います。
11/14から約1週間実際に仕事で使用して実用に耐えうるのか試してみましたが一人で使用する分には問題ありませんでした。ただ他の人に見せながら説明のために書く場合はやはりペンと消しゴムの切替の遅延の部分で話が止まってしまうので使いづらかったです。ペンと消しゴムの切替は頻繁に使用する部分なのでソフトウェア側でチューニング出来るのであればファームウェアアップデートを期待したいところです。
→【2020/10/10追記】2020/3/23にファームウェアVer.1.5が公開され、ペンと消しゴムの切替の遅延がかなり改善されました。
画面の見やすさは抜群に良ので私はWG-S50から乗り換えてWG-PN1を持ち歩くことにしましたが描き心地を重視する方はWG-S50のままの方が良いかもしれません。WG-PN1とWG-S50を両方の良さを備えた完成形の電子ノートはまた二年後のお楽しみですね。
左:WG-PN1 右:WG-S50
斜めからの見易さが格段に上がっています。
仕様
機能 | WG-PN1 | WG-S50 |
---|---|---|
ノート(最大合計) | 5,000頁 | 5,000頁 |
スケジュール帳(最大合計) | 1,000頁 | 1,000頁 |
TODO | 1,000頁 | なし |
CPU | 非公開 | 96MHz |
ディスプレイ | 6型/600×800ドット/電子ペーパーディスプレイ | 6型/600×800ドット/メモリ液晶 |
外寸(幅) | 114mm | 111mm |
外寸奥行 | 157mm | 155mm |
外寸(厚さ) | 10.4mm | 9.9mm |
質量(本体のみ) | 約210g | 約215g |
質量(専用カバー、ペン) | 約75g | 約70g |
電源 | リチウムイオン充電池 | リチウムイオン充電池 |
使用時間 | 約10日 | 約30日 |
発売日 | 2019年11月14日 | 2017年10月13日 |
図形描画 | ○ | ○ |
コピー&ペースト | ○ | ○ |
デスクトップモード | なし | ○ |
スタンプ | 240種類 | 120種類 |
ワンタッチ頁書き出し | × | ○ |
消しゴム範囲表示 | × | ○ |
消しゴム(ノート名) | ○ | ○ |
電子ノート全般
筆圧で線を描くのですが付属のペンは細い上に短いので力を入れづらく書きづらいので長さ太さ共にちょうど良いハイテックコレトのタッチペンユニットが描きやすくてお勧めです。もう二年ぐらいこの組み合わせで使用しています。特に社会人だと電子ノートでペーパレス化してもボールペンで名前を書いたりするのでボールペンと付属ペンを持つより物を減らせます。
電子ノートの収納としてウェストバッグを使用しています。隙間時間で物事を考えたりする時にスマートフォンでは中々考えづらいところがあります。手書きで色々と書いてこそですが使いたい時に手元にないのでは意味がありません。仕事でも使えるポーターのフリースタイル・ウェストバッグがサイズ的にちょうど良いです。財布と電子ノートを入れても嵩張らずにすっきりと持ち歩けます。
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- 発売日: 2014/10/01
- メディア: オフィス用品